ヤマハピアノのふるさと 掛川工場見学
静岡県掛川市にあるヤマハのピアノ専門工場です。こちらはヤマハ公式HPで事前予約すると見学できます。さらに、工場見学前後の時間帯でプレミアムグランドピアノSXシリーズの試弾を申し込むこともできたので併せて予約をしました。
掛川工場に併設するヤマハのハーモニープラザです。車はハーモニープラザ内の来客用駐車場に停められます。
電車でアクセスする場合は天浜線の桜木駅が最寄り駅で、工場までは徒歩10分程度です。風情溢れる小さな駅です。
試弾ルーム
今回は工場見学前の9:30〜9:50の時間枠でピアノの試弾を申し込んでおきました。予定時刻の5分前にハーモニープラザに到着し外観の写真撮影などをしていると、係員さんがお出迎えしてくれて試弾室に案内されました。
左奥から、S6X(540万円)、S3X(460万円)、C3X(230万円) の順で並ぶ3台のピアノ。
奥2台がプレミアムモデルで、手前のC3Xは比較用に置かれた標準モデルのピアノです。
20分間、この部屋の中のピアノを試弾しました。
まず、耳慣らしのためC3Xを弾いてみます。
C3Xは現在のヤマハグランドピアノのど真ん中と言えるスタンダードモデルで、家庭や学校、スタジオやホテル等に多くの台数が普及しています。C3Xを弾いて比較の基準となる音と感触を確認したら、そのまま左横に移動し、S3Xを弾いてみます。
これがC3Xとの違いが明確にわかるピアノでした。特に音色の明瞭感が印象的で、低音はより正確な音程感を持った音色で聞こえ、中〜高域は和音を弾いた時に一本一本の弦の音がしっかり聞こえる、粒立ちの良い音色です。
ヤマハのピアノは奏者側にもハッキリ音が聞こえるのが特徴。そのうえで、S3XはC3X以上にタッチの強弱に対して「高感度」にピアノが応答する様子がよく伝わってきました。
そして何よりも、感度が高いのにコントロールがしやすく、大きい音も小さい音も自在に表現できる懐の深さを感じます。
C3Xもじゅうぶん素晴らしいピアノですが、S3Xはやはり別格で、2倍の価格差にも納得です。
続けてさらにもうひとつ左のピアノ S6Xを弾いてみます。
S6XはS3Xに対して大きさのゆとりが与えられたピアノで、全長が212cmなのでスタインウェイBとほぼ同じ大きさです。
基本的にはS3Xの延長線上にあるピアノという印象ですが、大きいだけあって音の分離感や音色の深みが若干優れることは明らかでした。
そして、弱音の繊細さはやはりこちらに軍配が上がります。鍵盤の奥側を押したときの感触もわずかにフルコンに近づいているように感じました。もちろん、大きいピアノのほうが大きな音量が出るので、用途に合わせて選択すればよいのですが、空間に余裕があるのならば、可能な限り大きなピアノを選びたいものですね。
20分目一杯、ピアノの試弾をして違いを体感させていただいたところで制限時間を迎え、一旦ハーモニープラザのショールームに戻ります。
ショールーム
ショールームの展示もいくつかご紹介します。
小室哲哉スペシャル。その名のとおり、小室哲哉氏のために誂えられたピアノです。中身はC7。これも触らせていただきました。操作感が、お、重い、、、、ですが見た目のインパクトは抜群です。
初期のセミコンで、脚が6本あります。
日本楽器製造株式会社の時代のもので来客は演奏できませんが工場見学のプログラム内で説明員さんが音を鳴らしてくれます。
しっかり調整されていて、綺麗な音色でした。
左がリヒテルが弾いたフルコンCF、右が初期のフルコンFC。
1952年のFCの新品価格は130万円。当時は大卒初任給が1万円未満であったことより、現在の価値で2,500万円相当でしょうか。
フルコンはいつの時代も高嶺の花であることに変わりはないようです。
来訪された有名人のサインやピアニストの手形が置かれています。
手形は左から清塚信也さん、上原ひろみさん、小曽根真さんです。
工場見学
定刻になると視聴ルームに案内されてビデオ鑑賞から始まります。内容は「ヤマハの会社紹介」と「ピアノ作りの前工程について」。
ヤマハの工場見学では組み立て以前の工程は見学コースに含まれないためビデオでの上映紹介となります。室内に設置された自動演奏アップライトピアノがビデオ映像とシンクロして演奏されるという仕掛けも見逃せません。
工場見学は写真撮影禁止のため概要のみを記します。
Cシリーズのグランドピアノの製造工場内の組み立て以降の工程を40分ほどかけて歩きながら解説つきで見学しました。
C1からC7と、Sシリーズのピアノが工場内の製造ラインを流れます(Sシリーズの調整は別棟で実施。またCFXやCFシリーズのピアノは自動ラインではなく、別棟で職人の手によって組み立てられているそうです)。テクノロジーによって自動化されている工程もあれば、作業者の腕と技能に頼った工程もあり、従業員さんが活き活きと働いている様子を見てとることができました。
低湿度な国地域向けに出荷されるピアノは、専用の部屋で一定期間寝かされるとか、材料を入荷してからピアノとして完成出荷するまでに○年かかりますとか、このラインでは1日に○台のピアノを生産していますとか、この工場では○名の従業員が、、、、などという話を交えながら工場内をひととおり歩き終えると、選定ルームに案内されます。
選定ルームに並ぶのは出来上がったばかりのC3が3台。その3台を1台ずつ説明員さんが弾いて聴かせてくれます。
最後に「このように同じC3でも木という天然素材で作られる以上、個体差があるのですよ〜」ということを説明員さんが説明してくれたところで工場見学は終了となります。
選定室の出口にはこんなお土産が用意されていました。
なお、2020年7月現在は感染症予防のためツアー参加人数を通常時より制限したり、ソーシャルディスタンスを確保するための目印(音符マークなど)を床に貼るなどの対策のうえで工場見学を開催していただいています。大変な状況のなか、工場を見学させていただいたヤマハさんには本当に感謝するとともに、私たち一人一人もしっかりと感染症予防のための意識を高めなければと思いました。
近くのおすすめスポット
また、今回行けなかったので紹介できなかったカワイ楽器もピアノ工場の見学を行なっていますが2020年7月現在、コロナの影響で工場見学を開催していません。
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