浜松市内にあるヤマハの本社内にはイノベーションロードという企業展示コーナーがあり、事前予約をすると見学ができます。車は来客者用駐車場に停められます。
イノベーションロードの入り口。光沢のあるピアノブラックの壁は、ここがピアノメーカーであるという無言の主張。
今回は14:30〜16:00の時間枠を予約しました。少し早く到着し、受付を済ませてロビーで待機しました。展示室内の消毒作業が終わり、定刻になると入場できます。
広い空間に、ヤマハの楽器製品がたくさん展示されています。
ちなみにエンジンやバイクのヤマハは、「ヤマハ発動機」という別会社なので、それらに関する展示はイノベーションロードにはありません。
入ってすぐ、まずピアノ。手前からCFX、C7X、ベーゼンドルファー200、C5X。
反対側にはC1XやGB系等が設置されていて、合計9台のピアノの音色やタッチの違いをじっくりと確かめることができます。
これだけのヤマハピアノを横並びで比較できる機会は貴重です。
やはり、CFXの表現力の広さと懐の深さは桁違い。
ただ驚いたことは、C7XもCFXに通ずる表現力を持ったピアノだと感じられたことです。低音の輪郭感や音色のコントロールのしやすさが頭一つ抜けて優れていて、弱音の発音が綺麗でした。
ベーゼンドルファーも1台。ベーゼンは経営上はヤマハグループに属しています。
ベーゼンは時間をかけてじっくり向き合ってやっと本当の素晴らしさが分かる性質のピアノなので、今回の限られた時間内ではあまり触りませんでした。
逆の言い方をすると、ヤマハのピアノは音の良さが”わかりやすい”というのがひとつの特徴でもあります。
グランドピアノのカットモデル。
ピアノを構成する部品は全部で8,000個くらいあって、そのうち約6,000個がアクションの部品です。と、掛川工場で教えてもらったことを思い出しました。
フルコンCFです。リヒテルが弾いた個体で、サイン入りです。このような貴重なピアノも試弾できます。
ギターやエレキバイオリンも試奏可で、40万円のクラスのギターも試奏できます。
ピックやチューナー、エレキギター用のアンプやヘッドフォンも用意されています。
ヤマハはAREという独自の木材改質技術を持っており、グレードが高めのギターやバイオリンなどにはARE処理が施されている点にも注目です。
エレキベース。
アナログ電気ピアノです。
昨今のデジタル式の電子ピアノとは違い、実際に張られた弦をハンマーアクションで打鍵し、振動をピックアップで拾って出力する、いわゆるエレキギターのピアノ版です。本物のピアノのように弦振動を拡大する響板はありません。※演奏禁止
金管、木管楽器もズラリ。さすがは天下の総合楽器メーカー。
いまヤマハが力を入れているディスクラビアとマルチチャンネル録音されたドラムとウッドベースが自動演奏を聴かせてくれます。
驚くべきことは、ステージ上に普通のスピーカーは一つもないということ。
ウッドベースは駒についた振動スピーカーがボディを鳴らし、ドラムは各パーツに組み込まれた専用の振動スピーカーが発する振動で全ての部位が独立して音が鳴ります。全ての楽器が楽器から音を発するのでライブハウスにいるのと同じです。
臨場感を是非この場所で体感していただきたいです。ちなみに、私が行った時にはH ZETTRIOの演奏が再生されていました。
展示室の片隅で異色を放つ自動車のインパネ。
トヨタの最高級車「センチュリー」の内装パネルの製造はヤマハによるものだそうです。特に継ぎ目の無い一枚の木目パネルを美しく成形して仕上げるには高い技術力が必要なため、ヤマハの協力なくしては実現できなかったのです。
楽器づくりのノウハウがこんなところにも活かされていたとは、興味深いものでした。